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親会社が発起人になる子会社設立の登記:法人発起人で増える書類と確かめどころ
文:『子会社設立の実務ノート』編集部 / 掲載
| 親会社 | 上場・非上場の両方(実質的支配者の確認は親会社の属性に応じる) |
|---|---|
| 出資 | 100%子会社(親会社1社が発起人)。共同出資は注記 |
| つくる先 | 国内(日本で株式会社を設立) |
親会社が発起人だと、登記までのどこが変わるのか

株式会社は、本店の所在地で設立の登記をしたときに成立します(会社法49条)。子会社の設立も同じで、申請に基づき登記が完了すれば、原則として受付日が子会社の誕生日になります。法務省の「株式会社の設立手続(発起設立)について」は、登記を会社法46条1項の調査が終了した日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内にするよう案内しています(会社法911条1項)。
親会社が発起人になっても、この骨組みは変わりません。変わるのは、発起人の意思を示す書類が「会社の書類」になることです。個人の発起人なら本人が署名や押印をすれば済むところ、法人の発起人では、親会社の代表者が親会社の名前で押印し、親会社の存在と代表者の権限を証明書で示す必要が出てきます。
もう一つの違いは、申請をする人です。設立の登記は「会社を代表すべき者の申請」によるとされています(商業登記法47条1項)。つまり登記を申請するのは発起人である親会社ではなく、これから成立する子会社の設立時代表取締役です。親会社の社長が子会社の代表取締役を兼ねる場合でも、申請書には子会社の代表者として名前が載ります。

この記事では、図の2番目から5番目までのうち、法人が発起人であるために増える書類と、確かめておきたい点を順に見ていきます。登記申請書そのものの書き方は、登記・定款を専門に扱う姉妹サイトの担当なので、ここでは項目の名前までにとどめます。親会社が発起人になれる理由や発起人の責任といった前提は、カテゴリー「子会社設立 発起人」の総論で先に確かめておくと読みやすくなります。
定款認証で求められる親会社の証明書

法人発起人の証明書は、まず公証人による定款認証で使います。日本公証人連合会は、ウェブ会議による認証で、発起人が定款作成代理人に紙の委任状を出す場合、法人発起人の登記事項証明書と代表者の印鑑証明書を郵送するよう案内しています。この場合はいずれも発行後3か月以内の原本が必要です。電子署名を利用する場合などにも同じ書類が必須とはせず、採用する方式ごとに確認します。
親会社の証明書を法務局で取得する際は、取得の日付には注意が要ります。社内の決裁が長引いて認証の予約が後ろにずれると、先に取った証明書が3か月を過ぎてしまうことがあります。証明書の取得は、認証の日程が固まってからにするのが無難です。
定款の発起人欄には、親会社の商号(名称)と本店の所在地を書きます。公証人連合会のQ&Aは、発起人の氏名又は名称及び住所は定款の絶対的記載事項(会社法27条5号)で、法人の場合は名称と記載すると説明しています。登記事項証明書と照合できるよう、株式会社の位置(前か後か)や本店の番地の表記まで、証明書を横に置いて写すのが確実です。
| 発起人 | 定款認証で用意する主な証明書 | 押す印 |
|---|---|---|
| 個人 | 本人の印鑑登録証明書 | 個人の実印 |
| 法人(親会社) | 親会社の登記事項証明書・代表者の印鑑証明書 | 親会社の代表者印(登記所に届けた印) |
| 代理人が手続 | 上記に加えて委任状 | 委任状にも同じ印 |
日本公証人連合会の案内(2026年10月12日確認)による目安です。認証の方式や公証役場によって求められる書類が増えることがあります。
あわせて、公証人には実質的支配者となるべき者を申告します。日本公証人連合会の認定手順は、株式数ではなく、直接・間接に持つ議決権が50%を超える自然人、次に25%を超える自然人を確認します。支配する意思・能力がないことが明らかな場合の除外もあります。該当者がいなければ事業活動への支配的影響力、最後に代表権を持つ取締役という順に判定します。
親会社が株主でも、常に個人までさかのぼるとは限りません。一定の上場企業等は自然人とみなす取扱いがあるため、親会社の属性と議決権の関係を公証役場に伝えます。非上場の親会社では、その株主構成や支配関係が分かる資料を準備してください。申告者の根拠資料と本人確認資料について、予約前に一覧をもらうと印章管理部署への依頼をまとめられます。
発起人としての決定を、親会社の書面で残す

定款に書かなかった事項は、発起人が別に決めます。会社法32条1項は、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数、それと引換えに払い込む金銭の額、成立後の資本金と資本準備金の額に関する事項を、定款に定めがない場合には発起人全員の同意で定めるとしています。発起人が親会社1社なら、その1社の決定がそのまま「全員の同意」になります。
実務では、この決定を発起人決定書(発起人が複数なら発起人の同意書)という書面にします。法務局の添付書面の案内でも、割当てを受ける株式数や払い込む金額が定款に定められていない場合、資本準備金を計上するのに資本金と資本準備金の額が定款にない場合に、発起人の同意書が必要になると説明されています。
本店の番地までを定款に書かず、発起人が別に決める場合もあります。ただし、株式の条件を決める書面と役員選任の書面は、作成時期を分けて確認します。定款で設立時取締役を定めない場合、会社法38条1項による選任は出資の履行完了後です。定款で定めた場合も、同条4項により選任されたとみなされるのは履行完了時です。すべてを払込み前の日付の決定書にまとめないでください。

親会社の側では、この決定書の内容が、取締役会や経営会議で承認された範囲に収まっているかを確かめます。たとえば取締役会では「資本金3,000万円」と決議したのに、決定書で資本金2,000万円・資本準備金1,000万円に分けるなら、その振り分けまで承認の範囲に含まれていたかを議事録で確認しておきます。
子会社の役員側で用意する書類

子会社の役員になる人が用意する書類は、発起人が法人か個人かでは変わりません。違いが出るのは、子会社の機関設計です。法務局の「株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立)」の案内では、設立時代表取締役が就任承諾書に押した印鑑について市町村長が作成した印鑑証明書を添付し、印鑑証明書を添付しない設立時取締役・設立時監査役については本人確認証明書を添付するとしています。
本人確認証明書には、住民票記載事項証明書や、運転免許証の表裏のコピーに本人が「原本と相違ない」旨を記載して記名したものなどが使えます。親会社から複数の役員を派遣する子会社では、証明書の取得や本人への確認に時間がかかるため、役員の人選が決まった時点で依頼しておくと日程が崩れにくくなります。
| 子会社の機関設計 | 印鑑証明書が要る人 | 本人確認証明書が要る人 |
|---|---|---|
| 取締役会を置く | 設立時代表取締役 | そのほかの設立時取締役・設立時監査役 |
| 取締役会を置かない | 設立時取締役(全員) | 設立時監査役を置く場合はその人 |
法務局・法務省の案内(2026年10月12日確認)にもとづく整理です。電子署名を付けた電子データで就任承諾をする場合は扱いが変わります。
親会社の役員を子会社の役員に据えるときは、兼任できない組み合わせにも注意します。会社法335条2項は、監査役が、その会社やその子会社の取締役・支配人その他の使用人などを兼ねることはできないとしています。親会社の監査役を子会社の取締役にする案は成り立たないため、人選の段階で外しておきます。
取締役会を置く本記事の子会社では、設立時取締役の中から設立時代表取締役を選定し、その証明書面を添付します(会社法47条)。決定に必要なのは設立時取締役全員を基準とした過半数です。親会社の派遣者だけを分母にしたり、親会社の発起人決定で代用したりはできません。人選の社内承認と、子会社側での選定を分けて記録します。
払込みを証する書面は、親会社の口座から組み立てる

資本金の払込みは、登記の添付書面の中でいちばん親会社の経理と関わる部分です。法務局の案内では、払込金受入証明書か、設立時代表取締役が作成した「払込みを受けたことを証明する」書面に預金通帳の写しや取引明細票を合わせてとじたもの等を添付するとされています。
払込みは発起人が定めた銀行等の取扱場所で行います(会社法34条2項)。法務省の案内では、通帳の口座名義人として発起人と設立時取締役を認めています。本記事なら法人発起人である親会社名義の口座が候補です。設立時取締役の口座を使い、通帳の写しを添付する場合には、発起人から払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面も必要です。
親会社名義の口座を使う
- 入出金の記録が親会社の帳簿とそのまま対応する
- 法人口座は通帳がないことが多く、取引明細で証明する
- 子会社の成立後、子会社名義の口座へ移す手続きが要る
設立時代表取締役の口座を使う
- 親会社からの振込として名義が記録に残る
- 発起人からの委任状を登記に添付する
- 個人口座に会社の資金が一時的に入る点を社内で説明しておく
払込証明の準備では、親会社の経理に、入金の履歴だけでなく、銀行・支店名と口座名義人が分かる資料も依頼します。既存の残高の画面だけを渡して完了にしないでください。日程は株式の引受けと払込みの条件を先に確認して組み、すでに入金した資金を使えるかは申請先や司法書士に照会します。すべての発起人決定書を払込み前に置くのではなく、役員選任との前後関係も確かめます。詳しい払込方法は「資本金の払込み」のカテゴリーで扱います。
申請書の添付書面一覧と、登録免許税・印鑑届

書類がそろったら、商業登記法47条2項の並びで一覧にして、抜けがないかを確かめます。親会社が発起人の場合に特に意識したいのは、定款、発起人決定書(同意書)、設立時代表取締役の選定を証する書面、就任承諾書、印鑑証明書・本人確認証明書、払込みを証する書面の6点です。

定款認証で出す親会社の証明書と、登記申請で添付する役員個人の証明書は、別の目的で使います。法務局の添付書面案内では、法人が発起人というだけで親会社の登記事項証明書・印鑑証明書を一律に登記へ添付する構成にはなっていません。書類一覧には提出先と用途を記載し、同じ証明書を認証と登記へ出すと思い込まず、必要な通数を確認します。
株式会社の発起設立の登録免許税は、通常、資本金の額に1000分の7を掛け、15万円に満たないときは15万円です(登録免許税法別表第1第24号(1)イ、法務省の案内)。軽減措置等を使わない例では、資本金3,000万円なら21万円になります。これは申請時の税額であり、公証人の手数料や司法書士報酬とは分けて、親会社の予算表に記載します。
子会社の代表者印は、書面で申請する場合、印鑑届書を管轄の登記所に出します。法務局の案内では、印鑑届書には市町村に登録済みの印鑑を押し、その印鑑証明書(作成後3か月以内)を添付するとされ、登記申請と同時にオンラインで印鑑を届け出ることもできます。オンライン申請では印鑑提出は任意です。印鑑届用の3か月要件を、別用途の証明書に一律に当てはめないでください。子会社の代表者印の作成と管理を親会社の総務が受け持つなら、管理台帳に子会社の分を加えておきます。
登記の日が子会社の設立日になる:休日を指定する特例も

通常は申請に基づき登記が完了すると、その受付日が子会社の設立日になります。親会社から「4月1日付で新会社発足」のような希望が出ても、申請の予定を置いただけでは成立は確定しません。行政機関の休日を設立日にしたい場合には、次の特例の利用条件を確かめます。
法務省によると、令和8年2月2日から商業登記規則等の改正省令が施行され、一定の要件の下で、設立の登記の申請者が行政機関の休日に登記をすることを求められるようになりました。要件は、登記が成立の要件となる会社であること、申請書に特例を求める旨と指定登記日を書くこと、指定登記日が行政機関の休日であること、指定登記日の直前の開庁日に申請することです。

オンラインや郵送で申請する場合も、開庁時間内に届き、直前の開庁日の日付で受け付けられる必要があります(法務省の案内、2026年10月12日確認)。添付書面は申請の日までに作成したものを付けます。不備を補正しない場合などは特例の申出がなかった扱いになるため、指定日での成立を事前に保証するものではありません。
設立日をいつにするかは、子会社の事業年度の開始日や、親会社の連結決算への取り込み、上場会社なら開示に書く「設立年月日」とも結びつきます。設立日を一つの記念日として決めるより、親会社の決算と子会社の最初の事業年度がどう重なるかを経理と一緒に確かめてから日付を選ぶほうが、後の手当てが少なく済みます。
まとめ:提出先と決定者を分け、日付の前後を確かめる

親会社が発起人になる子会社の設立登記では、個人の発起人と比べて、親会社の登記事項証明書・代表者の印鑑証明書(定款認証の段階)と、親会社の名前で作る発起人決定書が加わります。申請人はあくまで子会社の設立時代表取締役で、通常の受付日と休日指定の特例を分けて設立日を確認します。
- 定款の発起人欄は、親会社の登記事項証明書と同じ表記で書く
- 実質的支配者は議決権で判定し、上場企業等の取扱いも確認する
- 発起人決定書の内容が、親会社の社内決裁の範囲に収まっているかを確かめる
- 親会社の監査役は子会社の取締役を兼ねられない(会社法335条2項)
- 休日を設立日にしたいときは、直前の開庁日に特例を求めて申請する
最後に、社内決裁、株式条件の決定、出資の履行、役員の選任・代表者の選定、調査、申請の記録を照合します。書類をまとめて回付しても、実際の決定日を後からそろえて書き換えることは避けてください。本記事の発起設立の期限は、会社法46条1項の調査終了日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内です(911条1項)。親会社の承認日だけを起算日にせず、子会社側の手続完了を確認して管理します。
親会社の担当者の方へ
子会社の設立登記の準備に入るなら、まず親会社の登記事項証明書の表記と、子会社の役員候補の一覧を手元にそろえてください。公証役場には認証の予約時に必要書類を確かめ、申請の代理まで任せるなら司法書士に早めに日程を伝えると、親会社の押印の回付も含めた段取りが組みやすくなります。
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- 子会社をつくる利点と、設立の登記で注意する点を会計事務所のブログで説明している
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子会社の設立登記について~株式会社が発起人となる場合に注意すべきこと~(名古屋会社設立起業サポート)
株式会社が発起人になって子会社を設立する際の登記上の注意点を、士業の共同事務所が説明している
nagoya-kigyoseturitu.com弁護士ドットコム:「発起設立」の法律相談
発起設立に関する相談と弁護士の回答の一覧。
bengo4.com を開く会社が発起人になるときの事業目的や、定款認証で求められる書類の注意点を説明している
| 子会社設立時の資本金払込の方法(スペラビ税理士法人) |
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| 親会社が発起人となる子会社設立で、資本金を払い込む口座の用意から払込証明の作成までを段階的に説明している |
参考
子会社設立の手続きの必要書類は?親会社側の準備も解説(GVA 法人登記)
- 会社設立に必要な発起人とは?意味や役割、責任範囲、決め方などを簡単に解説(マネーフォワード クラウド会社設立)
- 発起人の意味と役割、責任の範囲、決め方をクラウド会計会社が説明している
- biz.moneyforward.com
小谷野税理士法人:子会社設立の手続き
親会社側での基本事項の決定から設立手続へ進む流れを扱う。
- MONEYIZM:子会社の作り方はどうすればよい? — 子会社の作り方と、設立の手順・メリット・デメリットを解説。
- 法人(子会社)設立に関する届出書について(税理士ドットコム) — 子会社を設立したときの届出書の記載について、税理士に寄せられた相談のページ
- 登記相談Q&A(フォーサイト総合法律事務所 マンスリーコラム) — 法律事務所のコラムで、登記に関する相談とその回答を取り上げている
- 会社設立に住民票は必要?印鑑証明は?必要書類について解説 — 設立で住民票や印鑑証明書が要るかなど必要書類を解説
- 株式会社設立登記の必要書類 印鑑証明書(司法書士事務所) — 設立登記の申請で求められる印鑑証明書と、発起人が法人の場合の扱いを説明している
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