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子会社設立の流れ:親会社の社内決定から登記、設立後の引継ぎまでの手順
文:『子会社設立の実務ノート』編集部 / 掲載
| 親会社 | 非上場を基本に、上場会社の開示は段落を分ける |
|---|---|
| 出資 | 100%子会社(親会社1社が発起人)を基本に、合弁は注記 |
| つくる先 | 国内の株式会社(発起設立) |
この記事を読んでほしい担当者
親会社の中で子会社設立の担当に指名され、「まず何から始め、どの順番で進めればよいのか」を経営陣や関係部署に説明しなければならない方に向けたページです。親会社1社が出資して国内に株式会社を新設する場面を基本の流れとし、上場会社と合弁で手順が変わるところはその場で書き分けます。
SECTION 01子会社設立の流れは六つの段階に分けて見る

子会社設立の流れを社内で説明するとき、法務局に出す書類の順番だけを並べると、経営陣からは「それで、いつ誰が決めるのか」と聞き返されがちです。親会社の立場で見ると、手続きの前に新会社の構想を固める段階と親会社として正式に決める段階があり、そのあとに会社法の設立手続きが続きます。
法務省の「株式会社の設立手続(発起設立)について」は、発起人が定款を作成し、その全員が署名または記名押印するところから説明を始めています。親会社が全額を出資する子会社では、この発起人が親会社自身です。つまり定款に親会社の名称と本店を書き、親会社の代表者が押印するのが出発点になります。

六つに分けるのは、段階ごとに主に動く部署が変わるからです。構想は経営企画、社内決定は取締役会事務局、定款と登記は法務、出資は経理・財務、引継ぎは子会社の管理部門というように、担当の受け渡しが起きる場所で区切っておくと、どこで止まっているかが見えます。各段階で部署ごとに何をするかは子会社設立でやることの一覧にまとめています。
合弁で子会社をつくる場合は、1の前に相手方との基本合意と株主間契約の交渉が入り、2では相手方の社内決定とも日付を合わせることになります。この記事の流れは、その交渉が済んだあとに当てはめて読んでください。
SECTION 02手順1:構想を固め、新会社の概要を一枚にまとめる

最初の手順は、子会社で何をするのかを言葉にし、新会社の骨格を決めることです。ここが曖昧なまま定款づくりに進むと、事業目的の書き方や資本金の額で議論が何度も戻ります。経営企画が素案をつくり、法務と経理が条件を足していく進め方が一般的です。
| 決める項目 | 親会社側で確かめること |
|---|---|
| 事業目的 | 親会社の登記された目的と重なる事業か |
| 商号 | 親会社のブランドとの関係、ローマ字の使い方 |
| 本店の所在地 | 定款認証と登記の管轄がここで決まる |
| 資本金 | 親会社の出資の承認額、登録免許税の額 |
| 機関設計 | 取締役会を置くか、監査役を置くか |
| 役員 | 親会社から誰を出すか、兼任か出向か |
| 事業年度 | 親会社の決算期と合わせるか |
項目は株式会社の発起設立を前提にした一例です。
事業目的は、親会社が発起人になるときに特に注意が要る項目です。BUSINESS LAWYERS の解説「株式会社の設立に当たり検討すべき事項」は、目的の具体性・明確性に触れたうえで、完全子会社の事業を完全親会社の定款目的に記載すべきとする考え方を紹介しています。親会社の目的に子会社の事業が入っていなければ、親会社の定款変更を先に検討する場面も出てきます。
機関設計は、100%子会社なら取締役1名だけの簡素な形も選べます。一方、親会社の管理方針として子会社にも取締役会と監査役を置く会社もあります。どちらを選ぶかで、設立時に必要な役員の人数と添付書類が変わるので、この段階で決めておきます。
SECTION 03手順2:親会社の社内決定は、付議基準で決める機関を確かめる

概要がまとまったら、親会社として子会社をつくることを正式に決めます。どの機関で決めるかは一律ではありません。会社法362条4項は、取締役会設置会社では「重要な財産の処分及び譲受け」や「支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止」といった重要な業務執行は、個々の取締役に任せきりにせず取締役会で決めるよう求めています。子会社の設立という語は列挙されていないため、出資額や事業への影響をもとに、親会社の取締役会規程の付議基準に当てはめて判断します。
取締役会に付議する例
- 出資額が付議基準の金額を超える
- 親会社の主要事業を子会社へ移す
- 子会社の代表者に親会社の役員が就く
決裁規程で進める例
- 出資額が少額で基準未満
- 既存の方針の範囲で行う小規模な新設
- 社内規程で代表取締役に委ねている
取締役会を置かない親会社で取締役が複数いる場合は、定款に特別な定めがない限り、取締役の過半数の賛成で決めることになります(会社法348条2項)。いずれの場合も、決めた日付と内容を議事録や決裁書に残しておくと、あとで定款の作成日や払込みの日付と並べて説明しやすくなります。決議と議事録の書き方は取締役会の棚で扱っています。
上場している親会社は、決めた時点で開示を判断する
上場会社では、社内決定の段階に適時開示の判断が加わります。東京証券取引所の会社情報適時開示ガイドブック(2026年7月版)は、子会社等の異動を伴う事項について「決定した時点で開示することが必要」とし、登記の日などの効力発生日ではないと注意しています。新設する子会社の総資産や売上高の見込みなどを軽微基準に当てはめる作業があるため、IR担当は構想の段階から加わってもらいます。
SECTION 04手順3:定款を作成し、公証人の認証を受ける

社内決定が済むと、子会社設立の手続きは法務担当の手に移ります。会社法30条1項は、公証人の認証がない株式会社の定款には効力がないとしています。どの公証役場で認証を受けるかは本店の所在地で決まり、その地域の法務局に所属する公証人が担当します。手順1で本店を決めておく意味は、ここで効いてきます。
日本公証人連合会の「定款認証」のページは、発起人が法人の場合、3か月以内に発行された当該法人の登記事項証明書と代表者の印鑑証明書(いずれも原本)を同封する旨を案内しています(紙の委任状で定款作成を委任する場合の記述)。あわせて、会社を実質的に支配する個人についての申告書も出します。100%子会社では、親会社の株主構成によって申告の内容が変わるため、親会社の株主名簿を法務担当が確認しておきます。

定款の作成と認証の詳しい論点は定款の棚に分けてあります。流れの上で大事なのは、認証された定款は成立前には原則として変更できない(会社法30条2項)という点です。資本金の額や役員の書き方は、認証の前に親会社の決定内容と突き合わせておきます。
SECTION 05手順4:資本金の払込みと設立時役員の選任・調査

定款の認証が済んだら、親会社が発起人としてお金を払い込みます。会社法34条は、株式を引き受けたら遅滞なく全額を払い込むこと、その払込先は発起人が決めた銀行等の窓口であることを求めています。ここで動くのは親会社の経理・財務です。送金の承認と、払込みを証する書面に必要な通帳の写しや明細の手配を、法務と一緒に段取りします。
払込みが終わると役員の選任に進みます。会社法38条1項は、発起人は出資の履行が完了した後、遅滞なく設立時取締役を選任しなければならないとし、同条4項によれば、定款に名前を書いた設立時取締役は、払込みなどが終わった時点で選任済みとして扱われます。親会社が唯一の発起人なら、どちらの方法でも親会社の意思で決まりますが、定款に書いておけば選任の書面が一つ減ります。
- 選任の方法
- 定款で定めるか、発起人の議決権の過半数で決める(会社法40条1項)
- 代表者の選定
- 取締役会を置く子会社では、設立時取締役の過半数で設立時代表取締役を選ぶ(会社法47条)
- 調査
- 設立時取締役は選任後遅滞なく、払込みが済んでいるかなどを確かめる(会社法46条)
設立時代表取締役が子会社の社長になります。親会社の誰をその席に置くかは、兼任か出向か、親会社との取引をどう扱うかとも関係するため、手順1の段階で人事と相談しておきます。詳しくは後の見出しで子記事に送ります。
SECTION 06手順5:登記の申請で子会社が成立する

流れの山場は登記の申請です。会社法911条1項は、発起設立の株式会社の設立の登記を、46条1項の調査が終了した日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に、本店の所在地でしなければならないと定めています。会社法49条によって、会社が法人として生まれるのは本店所在地での設立登記の時点なので、親会社から見た「子会社ができた日」はここで決まります。
| 申請の前にそろえるもの | 主に用意する部署 |
|---|---|
| 認証を受けた定款 | 法務 |
| 払込みを証する書面 | 経理・財務 |
| 設立時役員の就任承諾書と印鑑証明書 | 人事・役員本人 |
| 発起人の同意書・決定書など | 法務 |
| 印鑑届書 | 総務 |
必要書類は機関設計や定款の記載で変わります。申請先の法務局の案内で確かめてください。
登記の申請を誰が行うかも、この段階で確定させます。会社の代表者が自ら申請することもできますが、他人の依頼を受けて登記申請を代理するのは司法書士の業務です。当サイトは申請の代理や書類の作成を引き受けていません。依頼する場合は、手順3の前に声をかけておくと、定款の案の段階から確認を受けられます。
親会社の印鑑や証明書は、登記の申請にも必要になりますか。
発起人である親会社の書類は、主に定款の認証の段階で求められます。登記の申請書に添付するのは、認証済みの定款、発起人の同意書や決定書、払込みを証する書面、設立時役員の就任承諾書などで、どれが要るかは機関設計と定款の記載で変わります。親会社側で押印が必要な書面は、手順3の時点でまとめて社内の押印手配に乗せておくと、申請の直前に慌てずに済みます。
申請から登記の完了までの日数は、申請先の法務局とその時期の混み具合で変わります。完了の目安は各法務局が公表しているので、申請日が決まったら確かめておきます。
SECTION 07子会社設立のスケジュールは、設立日から逆算して組む

手順が見えたら、次は日付を置きます。親会社の決算期や事業の開始日に合わせて設立日を決めたい場合、流れの順に足し算するより、希望する設立日から逆向きに日付を置くほうが組みやすくなります。申請日が設立日になるのが原則なので、そこから払込み、定款の認証、社内決定へとさかのぼります。

スケジュールを組むときに迷いやすいのは、各段階の間にどれだけ余白を置くかです。東京法務局などは各庁別の登記完了予定日を公表しており、書類に不備があればその日より遅れうるとも書き添えています。会議の開催日のように動かせない日と、事前確認の往復のように延びうる日を分けて書き込むと、表が現実に近づきます。
この見出しを詳しく:子会社設立 スケジュール子会社設立のスケジュール表の作り方:部署別の行と節目の日の置き方
部署別の行を持つ工程表の作り方や、取締役会・定款認証・払込みの日付をどう連動させるかは、子会社設立のスケジュールの組み方で具体的に扱っています。全体でどのくらいの日数を見込むかは子会社設立の期間の棚が詳しく扱います。
SECTION 08子会社の社長を親会社から出すか:流れの中で決めておく人事

流れの説明の中で後回しにされやすいのが、子会社の社長、つまり代表取締役を誰にするかです。会社法331条1項1号により法人は取締役になれないので、親会社そのものが子会社の役員になることはできません。親会社の役員か従業員、あるいは外部から迎える人のいずれかを、個人として選ぶことになります。
選び方によって、流れの中でそろえる書類と社内の承認が変わります。親会社の取締役が子会社の代表取締役を兼ねるなら、親子間の取引で利益相反の承認が論点になります。従業員を出向させるなら出向契約と給与の負担の取決めが要ります。いずれも、定款の案を固める手順3より前に方向を決めておくと、設立時取締役の記載で迷いません。
この見出しを詳しく:子会社の社長 親会社子会社の社長は親会社から出すのか:兼任・出向・報酬の決め方
兼任の可否や監査役との兼任制限、出向で送る場合の給与負担の考え方は、子会社の社長と親会社の関係で条文を引きながら整理しています。このページでは、社長の人選が設立の流れの途中に挟まる人事だ、という位置づけを確認するにとどめます。
SECTION 09まとめ:設立後は届出と運営の引継ぎで流れを閉じる

登記が完了しても、親会社の担当者の仕事はまだ終わりません。国税庁のNo.5100によると、税務署に出す法人設立届出書は設立の日(設立登記の日)以後2か月以内の提出とされています(2026年10月18日確認)。届出の具体的な手順は設立後の手続きを扱うサイトの担当で、このページでは期限があることを子会社の担当者へ確実に渡す点に絞ります。
- 構想を固め、新会社の概要を一枚にまとめる
- 付議基準を確かめ、取締役会などで子会社の設立を決める(上場会社は開示の判断も)
- 定款を作成し、公証人の認証を受ける
- 親会社が払い込み、設立時取締役の選任と調査を行う
- 調査の終了などから2週間以内に登記を申請する
- 設立後の届出と運営を、子会社の担当者へ引き継ぐ
親会社の側では、子会社株式の計上、連結の範囲の確認、グループの規程を子会社に適用する手続きなどが続きます。流れの最後に「誰が子会社の窓口になるか」を決めておけば、設立の担当から運営の担当への受け渡しが途切れません。
次の一歩
新会社の概要の空欄と、親会社の付議基準への当てはまり具合。この二つを手元の資料で最初に点検してみてください。そこが決まれば流れの残りは順に進められます。定款と登記は司法書士に、決議と開示の判断は弁護士に、設立後の届出と税務は税理士に、それぞれ相談の日程を前倒しで押さえておくと進めやすくなります。
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zeiken.co.jp
参考
100%子会社の機関設計(大和総研)
- 子会社設立のメリットはどこにある?デメリットも含めた影響と設立の流れ(M&A総合研究所)
- 子会社設立の効果と影響、設立までの流れをM&A仲介会社がまとめている
- masouken.com
子会社・関連会社設立~別会社設立のメリットと、別会社を設立する場合に①子会社にするべきか②社長出資で設立するべきか
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- 事業会社における子会社設立の際の留意点(ロジット・パートナーズ) — 新規事業のために子会社を設立する事業会社が、事前に検討すべき課題や論点を整理している
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- 弁護士ドットコム:「子会社 登記」の法律相談 — 子会社の登記に関する相談と弁護士の回答の一覧。
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