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子会社設立の登記:成立日・申請人・登録免許税と、親会社が発起人のときに変わる点
文:『子会社設立の実務ノート』編集部 / 掲載
| 親会社 | 上場・非上場の両方(上場会社は開示日の段落を分ける) |
|---|---|
| 出資 | 100%子会社(親会社1社が発起人)。共同出資は注記 |
| つくる先 | 国内の株式会社を発起設立(取締役会設置会社を中心に) |
この記事を読んでほしい担当者
子会社の設立日を経営陣に約束しなければならず、登記の段取りと費用を一度で説明できるようにしたい親会社の総務・法務・経理の担当人のためのページです。書式の書き方には立ち入らず、親会社の側で決めること、予算に入れること、日程で気をつけることに絞ります。
子会社は登記で生まれる:成立の日を最初に押さえる

子会社設立の登記は、手続の最後の一つというにとどまりません。会社法49条は、株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立すると定めています(条文は2026年10月18日に原文で照合)。定款を認証し、親会社が資本金を払い込んでも、登記をするまでは子会社は法人として存在していません。
親会社の担当者にとって、この点は日程の組み方に直結します。子会社名義の銀行口座の開設、取引先との契約、従業員の雇用、出向の開始など、子会社が当事者になる手続の多くは、成立の後でなければ正式には進みません。経営陣が「この日から子会社で事業を始めたい」と言うなら、その日は登記の日と同じか、それより後でなければならない、ということです。

上場している親会社では、子会社の設立を決めた時点で適時開示を行い、その中で設立年月日の予定を示すことが多くあります。開示した予定日と実際の登記の日がずれると、訂正の開示が必要になることもあるため、予定日は登記の段取りが見通せてから書き込むようにします。非上場の親会社でも、取引先や金融機関に伝える設立日は、登記の日程が固まってから知らせるほうが安全です。
通常は、登記の申請が受け付けられた日が登記の日として記録され、子会社の成立の日になります。完了までに数日から十数日かかっても、完了した日ではなく受付の日が成立の日になる点が、日程を説明するときの要です。休日を成立の日にしたい場合の特例は、後のセクションで触れます。
申請するのは子会社の代表者、親会社ではない

親会社が発起人として子会社をつくっても、設立の登記を申請するのは親会社ではありません。商業登記法47条1項は、設立の登記は、会社を代表すべき者の申請によってすると定めています。取締役会を置く子会社なら、設立時取締役の中から選ばれた設立時代表取締役が申請人です。
親会社の社長が子会社の代表取締役を兼ねる場合でも、申請書に載るのは子会社の代表者としての立場です。登記所に提出する印鑑も、子会社の代表者印として新しく届け出るもので、親会社の代表者印をそのまま使うわけではありません。親会社の印章管理の担当者には、この違いを先に伝えておくと混乱が起きません。
親会社(発起人)が担うこと
- 定款の作成と認証の手配
- 設立時発行株式の引受けと払込み
- 発起人としての決定(株式数・資本金など)
子会社の代表者(申請人)が担うこと
- 設立の登記の申請
- 子会社の代表者印の届出
- 登記完了後の証明書の取得
子会社の代表者が親会社の役員や社員の兼務である場合、登記の申請に関わる書類への押印や電子署名は、その人が子会社の代表者として行います。本人の印鑑証明書は個人として市区町村で取るものなので、親会社の総務が代わりに取り寄せることはできません。本人の予定を押さえ、証明書の取得と押印の日を日程表に入れておくと、申請の直前で止まる事態を防げます。
申請の代理は司法書士の業務です。親会社の社員が、子会社の登記の手続を代わりに引き受ける形にならないよう、誰がどの立場で何をするかを分けておきます。この線引きは、このカテゴリーの子子記事に分けて掘り下げています。
期限は2週間、ただし起点は二つのうち遅い日

設立の登記には期限があります。会社法911条1項は、株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、設立時取締役等による調査(会社法46条1項)が終了した日と、発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければならないと定めています(発起設立の場合。条文は2026年10月18日に原文で照合)。
親会社が発起人のとき、この「発起人が定めた日」を親会社が決めることになります。子会社の設立日を特定の日にしたいなら、払込みや調査を早めに済ませても、発起人が定めた日を基準に期限を考えられる、という意味で日程に幅が生まれます。ただ、期限の起点や発起人の決定の書き方は手続の細部に関わるため、依頼する司法書士と一緒と詰めておくと安心です。
期限とは別に、法務局が登記を完了させるまでの日数も見ておく必要があります。東京法務局をはじめ、法務局は登記所ごとの登記完了予定日をホームページで公表しています。時期によって混み具合が変わるため、設立の直後に登記事項証明書が必要な予定(口座の開設や許認可の申請など)があるなら、申請の前に管轄の法務局の予定日を確かめておきます。
期限を守る段取りは、親会社の側の作業の進み方に左右されます。発起人として決める書面の押印や、役員になる人の書類集めが遅れれば、それだけ申請の日が後ろへずれていきます。社内の決裁や押印の遅れで登記が後ろにずれるのはよくあることなので、払込みの日を決める前に、申請までの残りの作業が2週間の中に収まるかを確かめておくのが現実的な予防策です。
この記事は通常の発起設立を扱っています。指名委員会等設置会社や募集設立では期限の起点が異なります。
登録免許税は資本金の1,000分の7、最低15万円

設立の登記には登録免許税がかかります。国税庁の「No.7191 登録免許税の税額表」では、株式会社の設立の登記は、課税標準を資本金の額とし、税率は1,000分の7、15万円に満たないときは申請件数1件につき15万円とされています(同日に原文で照合)。
| 子会社の資本金の額 | 1,000分の7で計算 | 納める登録免許税 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 7万円 | 15万円(最低額) |
| 2,000万円 | 14万円 | 15万円(最低額) |
| 5,000万円 | 35万円 | 35万円 |
| 1億円 | 70万円 | 70万円 |
国税庁の税額表の株式会社の設立の登記の区分で計算した例です。軽減措置の対象になる場合などは別に確かめてください。
親会社の予算の立て方としては、登録免許税は子会社の資本金の額に連動するので、出資額を決める議案と同時に見積もっておくのが自然です。15万円を1000分の7で割ると約2,142万円になるため(当サイトの計算)、資本金がこの額以下なら最低額の15万円で済み、それを超えると資本金に比例して増えていきます。もっとも、資本金の額は登録免許税だけで決めるものではなく、子会社の信用や事業の規模、税務上の区分との関係で決めるものです。
登記の前に払う登録免許税や定款認証の手数料を、いったん親会社が立て替えるのか、子会社の成立後に子会社の負担として精算するのかも、決めておく必要があります。設立費用を誰が負担するかの考え方は、費用のカテゴリーで扱っています。
親会社が発起人であることは、添付書面のどこに表れるか

法務局の「株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立)」の案内は、添付書面として、公証人の認証を受けた定款、設立時取締役等の選任及び本店所在場所の決議書、発起人の同意書、設立時取締役等の就任承諾書、設立時代表取締役の印鑑証明書、本人確認証明書、払込みを証する書面などを挙げています(同日に原文で照合)。このうち、親会社が発起人であることが表れるのは主に三つです。
- 定款
- 発起人欄に親会社の商号と本店。親会社の代表者が記名押印又は電子署名
- 発起人の同意書・決議書
- 株式数や本店所在場所などを、親会社が発起人として決めた書面
- 払込みを証する書面
- 親会社から払い込まれた記録を、設立時代表取締役の証明書ととじる
見落とされやすいのは、親会社の登記事項証明書や代表者の印鑑証明書が、この登記の添付書面の一覧には載っていない点です。これらは主に定款認証の段階で公証役場に出す書類として必要になります。登記と認証で求められる書類を混ぜて準備すると、どの証明書を何通取ればよいかが分からなくなります。法人が発起人になるときの書類の全体は発起人のカテゴリーで、社内の決裁書類まで含めた一覧は必要書類のカテゴリーで整理しています。
登記申請書の様式の埋め方や各書面のひな形は、登記・定款を専門に扱う姉妹サイトの担当なので、ここでは書面の名前と、親会社との関わりまでにとどめます。
設立日を休日にしたいとき:2026年2月からの特例

子会社の設立日を、月初めの1日や事業年度の初日など、区切りのよい日にしたいという要望はよくあります。その日が土日祝日だと、以前は登記所が開いていないため、その日を成立の日にすることはできませんでした。法務省は、令和8年2月2日から、一定の要件の下で、設立の登記の申請において行政機関の休日に登記をすることを求めることができるようになったと案内しています(同日に原文で照合)。
要件として挙げられているのは、登記が成立の要件となる会社等であること、申請書に特例を求める旨と指定登記日を記載すること、指定登記日が行政機関の休日であること、指定登記日の直前の開庁日に申請をすることです。オンラインや郵送で申請する場合も、開庁時間内に到達し、直前の開庁日の日付で受付がされる必要があるとされています。

特例を使うかどうかは、子会社の事業の都合だけでなく、親会社の決算や連結の区切りとの関係でも考えます。たとえば月初めの休日を設立日にすれば、その月の初日から子会社が存在したことになり、親会社の月次の管理や子会社の最初の事業年度の数え方が分かりやすくなります。一方で、直前の開庁日に申請を間に合わせる必要があるため、払込みや書類の作成は通常より前倒しで進めることになります。
法務省の案内は、特例を求める申請の添付書面は従前どおり申請の日までに作成したものが必要であること、特例の求めに不備があり補正されないときは求めがなかったものとして扱われることにも触れています。区切りのよい日にこだわる場合ほど、依頼する司法書士と日程を早めに共有しておきます。
子会社設立の登記を司法書士に頼むとき

子会社の設立の登記を、親会社の社内だけで進める会社は多くありません。登記の申請代理や登記書類の作成は司法書士の業務で、定款の原案づくりから認証の手配、申請、登記完了後の証明書の取得までを依頼する形がよく選ばれます。一方で、子会社の商号・目的・資本金・役員といった中身を決めるのは親会社で、そこは依頼しても手元に残ります。
依頼の範囲は事務所ごとに違うため、見積書や委任の範囲で、どこまでが含まれるかを項目ごとに確かめます。親会社に残る仕事と任せる仕事の線引き、依頼の型、相談のときに渡す情報の整え方は、子会社設立の登記を司法書士に頼む範囲の記事でまとめています。
この見出しを詳しく:子会社設立 登記 司法書士親会社に残す仕事と、司法書士に任せる仕事の線引き
司法書士に依頼する場合でも、登記の申請の前に親会社の側で済ませておくことは少なくありません。発起人としての決定、払込みの実行、子会社の役員になる人への就任の依頼などは、依頼先が代わりに決めることはできない事項です。依頼先から届く作業の一覧を受け取ったら、親会社の誰がいつまでに行うかを書き添えて、社内の関係部署に回しておきます。
当サイトは登記の申請の代理や、事務所の紹介・比較は行いません。依頼先を選ぶときは、子会社の設立を扱った経験や、設立後の変更登記まで継続して相談できるかといった点を、親会社の側の基準で確かめてください。
まとめ:登記の後、親会社の手元に残しておくもの

登記が完了したら、子会社の登記事項証明書を取り寄せ、登記された内容が親会社で承認した内容と一致しているかを確かめます。証明書は窓口でもオンラインでも請求が可能です。目的・商号・本店・資本金・役員が、取締役会などの議案の資料と同じであれば、子会社設立の登記は無事に終わったことになります。
一つ注意したいのは、子会社の株主が親会社であることは、設立の登記事項には含まれていない点です。会社法911条3項が挙げる登記事項に株主の氏名や名称はなく、親会社が子会社の株式を持っていることは、子会社の株主名簿などで示すことになります。親会社の経理や監査の担当者が出資の事実を確かめるときに使う資料を、登記事項証明書とは別にそろえておきます。
- 子会社は本店の所在地で設立の登記をしたときに成立する(会社法49条)
- 申請人は子会社の設立時代表取締役。親会社は発起人
- 期限は調査の終了日と発起人が定めた日の遅いほうから2週間以内
- 登録免許税は資本金の1,000分の7、15万円に満たなければ15万円
- 親会社の証明書は主に定款認証の段階で使う
- 休日を設立日にする特例は、直前の開庁日の申請が条件
登記の後には、税務署などへの届出や口座の開設が続きます。設立後の届出の手順は、それを専門に扱う姉妹サイトの担当です。親会社の側では、登記事項証明書、認証済みの定款の写し、払込みの記録、株主名簿の写しを一つのフォルダにまとめ、子会社の担当者にも同じものを渡しておきます。
次の一歩
子会社の設立日の候補が決まったら、その日から逆算して、定款認証・払込み・登記申請の日を一枚の日程表に落とし込んでください。あわせて、資本金の額から登録免許税を計算し、誰の予算で払うかを決めておきます。登記の手続そのものは依頼する司法書士に、期限や特例の細かな扱いは管轄の法務局に確認してください。
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参考
会社設立手続きは司法書士に依頼できる?法人設立の相談先の選び方 - 起業・開業お役立ち情報 - 弥生株式会社【公式】
- 司法書士に依頼する会社設立、圧倒的なコスト削減の秘密とは? - KOTORA JOURNAL
- 司法書士に設立を依頼した場合のコストの考え方と節約の工夫を紹介
- kotora.jp
法第9条に基づく会社設立の届出制度 | 公正取引委員会
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