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子会社の設立登記を司法書士に頼む範囲:親会社に残す仕事と任せる仕事の線引き
文:『子会社設立の実務ノート』編集部 / 掲載
| 親会社 | 上場・非上場の両方(上場会社は情報管理の段落を分ける) |
|---|---|
| 出資 | 100%子会社を中心に、共同出資は注記 |
| つくる先 | 国内の株式会社を発起設立(海外の親会社・指名委員会等設置会社は対象外) |
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子会社の設立を任され、登記を外部の司法書士に頼むか、社内でどこまで抱えるかを上司に説明しなければならない親会社の担当者に向けた記事です。依頼先の選び方や料金の比較ではなく、仕事の切り分け方を扱います。
登記の申請代理は司法書士の業務、申請そのものは子会社がする

最初に、誰が何をしてよいのかを条文で確かめておきます。司法書士法3条1項は、司法書士の業務として、登記又は供託に関する手続について代理すること(1号)、法務局又は地方法務局に提出する書類や電磁的記録を作成すること(2号)などを挙げています。同法73条は非司法書士等による業務を制限し、他の法律に別段の定めがある場合の例外も設けています(2026年10月12日、条文原文確認)。
一方で、設立の登記を申請するのは「会社を代表すべき者」です(商業登記法47条1項)。子会社の設立時代表取締役が自分で申請する本人申請は、法律上なんら問題のないやり方です。親会社の担当者が資料を集める場合も、親会社と子会社は別法人です。社内の応援という呼び方だけで、他法人の登記書類を作成したり申請を代理したりできるとは判断しないでください。
気をつけたいのは、親会社が子会社のために「登記の手続を代わりに請け負う」形になっていないかです。グループ会社の間で業務委託契約を結び、登記書類の作成を継続的に請け負う、といった仕組みは、司法書士法との関係を確かめる必要が出てきます。担当者がどの法人の立場で何をするのかを整理し、実際の分担が職域に触れないかは依頼先や弁護士に確かめます。
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当サイトは登記の申請代理を行いませんし、特定の事務所を紹介することもしません。ここで扱うのは、親会社の担当者が依頼の範囲を決めるための考え方です。個人の会社設立の手順や、登記申請書の書き方は、それぞれを専門に扱う姉妹サイトの担当です。
分担する場合は、親会社自身の意思決定資料を社内で整え、子会社の申請書や添付書面の作成を司法書士へ任せる形が考えられます。親会社の取締役会議事録の準備と、別法人の登記書類の作成を同じ「社内作業」で括らないことが大切です。本人申請を選ぶ部分は、申請する子会社側の体制を確かめたうえで役割表に記載します。
親会社の担当部署が手放せない仕事

司法書士に依頼しても、子会社を設立するという意思決定や、その中身を決める作業は親会社に残ります。定款は発起人が作成し、その全員が署名し又は記名押印するもの(会社法26条1項)で、発起人である親会社が内容に責任を持つ書類です。司法書士は原案を整え、法令や登記実務に合っているかを確かめてくれますが、事業目的や機関設計そのものを決めるのは親会社です。

経理・財務の実作業に外部の支援を使っても、出資の承認や資金管理の責任まで司法書士へ移るわけではありません。資本金を払い込む口座の手配、支払の稟議、払込みの記録の保存は、親会社の会計処理と直結します。司法書士から「この日までに払い込んでください」と言われてから慌てないよう、支払日の締めや承認の順番を先に確かめておきます。
人事の側でも、子会社に移る社員の出向契約や転籍の同意、社会保険の切り替えなどの準備が並行して進みます。これらは登記とは別の手続ですが、子会社の設立日が決まらないと日付が入らない書類が多いため、登記の日程と同じ表で管理すると漏れが減ります。
反対に、外へ出しやすいのは、登記所や公証役場とのやり取りが中心になる作業です。書類の形式の確認、申請書の作成、オンライン申請、補正への対応は、慣れている専門家に任せたほうが時間の見通しが立ちやすい部分です。
依頼の範囲は三つの型で考える

司法書士への依頼内容は、事務所ごとに細かく違います。それでも、親会社の側から見ると、おおむね次の三つの型に分けて考えると話が通じやすくなります。
| 型 | 司法書士に任せる範囲 | 親会社に残る範囲 |
|---|---|---|
| A 申請だけ | 登記申請書の作成と申請の代理 | 定款等の準備主体の確認、社内決裁、払込み |
| B 定款から登記まで | 定款の原案、認証の手配、添付書面の作成、申請 | 社内決裁、押印、払込み、役員の書類集め |
| C 設立後も継続 | Bに加えて役員変更・増資などの変更登記 | 子会社の株主総会・取締役会の運営 |
型の名前は当サイトでの呼び分けです。Aでも、子会社側の書類を親会社が当然に作成できる意味ではありません。本人申請または別の適法な受任者が担う部分を確認します。実際の業務範囲と報酬は、依頼前に見積書と委任の範囲で確かめてください。
初めて子会社をつくる親会社や、社内に登記の経験者がいない場合は、Bの型を検討すると、書類作成と認証の日程調整の窓口をまとめられます。複数のグループ会社を持つ場合でも、古い定款のひな形だけでAを選ばず、今回の機関設計や申請方法で不足する支援を確かめます。社内の経験は依頼事項を説明する材料として使い、法律上の作業主体とは分けて考えます。
Cの型は、子会社が成立した後の運営まで見据えたものです。子会社では、役員の任期が来るたびの重任登記、増資、本店移転、目的の追加など、登記が必要な出来事が続きます。設立のときから同じ司法書士に頼んでおくと、定款や過去の議事録の控えが一か所にそろい、毎回の説明の手間が省けます。
設立事項が承認後に変わった場合の連絡経路も、委任の範囲と一緒に決めます。例えば事業部が子会社の本店候補を変更しても、担当者から直接司法書士へ伝えるだけでは、親会社が承認した資料と申請用の資料が食い違います。変更点を法務へ集め、再承認の要否を社内で確かめたうえで、差し替える書類と作業の再開条件を依頼先と共有する手順を用意します。追加報酬の有無だけでなく、どの工程をやり直すかまで把握できます。
どの型でも、依頼の範囲は委任状と見積書の文言で決まります。「設立登記一式」とだけ書かれていると、定款認証の手配が含まれるのか、印鑑届や登記事項証明書の取得まで含まれるのかがあいまいになりがちです。依頼のときに項目ごとに含む・含まないを確かめ、社内の作業表と突き合わせておきます。
相談時に共有し、署名前に確定する情報

司法書士への相談は、すべてを社内で決めてからでなくても始められます。法務省が示す定款の絶対的記載事項は、目的・商号・本店の所在地・設立時に出資される財産の価額又はその最低額・発起人の氏名又は名称及び住所です。これらと機関設計を一覧にし、相談段階では案と未決定事項を明示します。認証や署名に進む前に、必要な事項の決定と社内承認を済ませて最終版を確認します。

事業目的は、子会社がすぐに始める事業だけでなく、数年のうちに始める予定の事業も入れておくと、後から目的を追加する変更登記を減らせます。ただし、許認可が必要な事業は、所管官庁の求める目的の書き方があることもあるので、司法書士と所管の窓口の両方に確かめます。
資料の受渡しには、ファイル名だけでなく、承認済みか検討中かを示す欄を付けます。子会社の資本金が検討途中なら、金額の横に未決定と記し、設立準備の相談用であることを明示してください。親会社の法務と経理が別々に回答すると、相手方にはどちらが最新か分かりません。窓口を一本にまとめ、回答した日と根拠の資料を残すことで、設立の直前に旧版へ押印する事故を防ぎやすくなります。
これらの情報は、取締役会の議案資料に書く項目とほとんど重なります。議案の資料をつくる段階で、司法書士に渡す「設立事項のメモ」も同時につくってしまうと、社内と外部で数字や表記がずれる心配が減ります。
定款認証の費用と、公証役場とのやり取りを誰が持つか

株式会社の設立で必要な定款認証については、公証役場へ支払う実費と、司法書士へ支払う報酬を分けて依頼書に記載します。子会社の出資額や発起人の構成を伝え、適用される手数料と追加の交付費用を公証役場に確認してください。個人が発起人となる場合の案内を、そのまま法人出資の予算に当てはめないことが大切です。金額だけを社内で承認しても、費目が曖昧だと後で精算担当者が困ります。
公証役場とのやり取りは、司法書士に任せることが多い部分です。電子定款で認証を受ける場合、ウェブ会議による認証の手配や、実質的支配者となるべき者の申告書の提出も含めて調整してもらえます。親会社が発起人のときは、親会社の登記事項証明書や代表者の印鑑証明書について、求められる原本・発行時期・提出方法を依頼先に照会し、その取得を誰がするかも決めておきます。
- 親会社がすること
- 証明書の取得、委任状への代表者印の押印、実質的支配者の確認
- 司法書士に頼めること
- 定款の原案、認証の予約、申告書の作成と提出、電子定款の作成
- 両方で確かめること
- 定款の最終版、認証日、払込みの予定日
費用の話でいえば、登記の際の登録免許税や定款認証の手数料などは、適用条件を確かめて予算に入れる実費です。司法書士の報酬とは別に見積もり、親会社が立て替えるのか、子会社の成立後に子会社の負担として精算するのかも決めておきます。設立費用を誰の負担とするかの考え方は、子会社設立の費用のカテゴリーで扱っています。
押印の回付と日程:設立日から逆算する

子会社は登記によって成立し(会社法49条)、通常は申請に基づく登記が完了すると、受付日が設立日となります。休日を指定する取扱いなどを利用する場合は、申請日との関係を司法書士と確認してください。設立日を決めたら、その日から逆算して、押印・払込み・認証の日を置いていきます。外部に依頼しても日程が延びやすいのは、実は親会社の中の手続です。
親会社の代表者印を押す前に、委任状や発起人決定書の内容を印章管理規程に沿って承認します。書類の一覧と案は早めに集められますが、決定・選任の前に全書類へ一括で日付を入れることは避けます。定款で設立時役員を定めない場合、選任は出資の履行完了後です(会社法38条)。親会社が株式の条件を決める書面と、役員を選任する書面では、適切な回付時期が異なります。

日程は一例です。この記事が扱う通常の発起設立では、会社法46条1項の調査が終了した日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内という期限(会社法911条1項)があり、登記の完了までの日数は法務局の混み具合で変わります。
登記が完了したら、登記事項証明書と子会社の代表者の印鑑証明書を取り寄せます。子会社名義の銀行口座の開設、税務署などへの届出、取引先への通知はこの証明書を使って進むため、司法書士に取得まで頼むか、子会社の担当者が自分で取るかを決めておくと、設立直後の作業が滞りません。登記のあとの届出の手順は、設立後の手続を扱う姉妹サイトの担当です。
上場会社の親会社は、依頼先にも情報管理を求める

上場している親会社では、子会社設立の検討中から開示担当部署と日程を共有します。東京証券取引所の会社情報適時開示ガイドブック(2026年7月版)は、子会社等の異動を伴う事項を決定し、軽微基準等の判定を経て開示対象となる場合に、決定した時点での開示を求めています。ここでの決定は実質的な意思決定であり、形式的な取締役会決議より前になることもあります。登記日まで開示を待てるとは限りません。
司法書士への依頼は、開示より前に始まることが少なくありません。定款の原案をつくるには商号や事業目的、出資額を伝える必要があり、内容によっては投資判断に影響する情報になりえます。依頼の際に秘密保持の取り決めを確かめ、連絡の窓口を親会社側の限られた担当者に絞っておくと、社内規程との整合をとりやすくなります。どの情報が重要事実に当たりうるかの判断は、社内の担当部署と弁護士に確認してください。
上場している親会社
- 実質的な決定時点の開示判断を認証・登記と別に管理する
- 依頼先との秘密保持と連絡窓口を決める
- お知らせに書く設立年月日は登記の予定日と合わせる
非上場の親会社
- 取引所の開示はないが、取引先・金融機関への説明日をそろえる
- 自社の決裁規程に沿い、承認と押印の段取りを確保する
- グループ内通知は準備に必要な時期と確定後に分ける
共同出資で子会社を設立する場合は、相手方の会社の決裁や押印も日程に入ってきます。発起人が複数になると、決める事項ごとの同意の要件や証明の方法、各社の払込みの段取りも確認する必要があるため、依頼先の司法書士にはどちらの会社が窓口になるかを最初に伝えておきます。
まとめ:決めるのは親会社、書類と申請を任せる範囲は見積書で確かめる

子会社の設立登記を司法書士に頼むときの線引きは、「何を決めるか」は親会社に残し、「決めたことを登記所と公証役場に通る形にする作業」を任せる、と考えると整理できます。申請するのは子会社の代表者で、司法書士はその代理人という関係です。
- 登記の申請代理と登記書類の作成は司法書士の業務(司法書士法3条・73条)
- 本人申請もできるが、親会社が子会社の登記手続を業として請け負う形は避ける
- 依頼の範囲は、申請だけ・定款から登記まで・設立後も継続、の三つの型で考える
- 相談時には設立事項の決定状況を共有し、署名前に必要な事項を確定する
- 押印の準備はまとめても、決定・払込み・選任の順に適切な日付で進める
業務の終了時には、親会社が依頼先から何を受け取るかも一覧にします。申請内容の控え、定款、証明書類、実費の明細を受け取る担当と保存先を決め、子会社自身が後日確認できる状態に整えます。親会社の設立プロジェクトが解散した後も、増資や役員交代を担当する人が履歴をたどれることが引渡しの目標です。受領確認を誰が行うかまで依頼書に書くと、登記完了の連絡をもって社内の作業も終了したと取り違えずに済みます。
添付書面の一覧(商業登記法47条2項)を司法書士と共有し、誰がどの書類を用意するかを一枚の表にしておくと、社内でも外部でも抜けが見つけやすくなります。子会社の設立は登記で終わりではなく、その後の変更登記も続くため、最初の依頼のときに長く付き合える分担の形を決めておく意味は大きいはずです。成立の日・登録免許税・期限など登記全体の押さえどころは、子会社設立の登記のカテゴリーで整理しています。
依頼先に連絡する前に、子会社の商号・本店・目的・資本金・役員候補・希望の設立日を一枚のメモにまとめてみてください。未決定の項目はその旨を記し、社内で決める事項と依頼先へ相談する事項を分けてください。依頼の範囲と報酬は見積書で項目ごとに確かめ、登記の手続そのものについては依頼する司法書士に相談してください。
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司法書士への依頼が向くケースと費用相場、税理士との違いを整理
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imai-houmu.com
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(2026年版)株式会社の設立の流れをわかりやすく解説【必要書類】 | 田渕司法書士・行政書士事務所
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- 法人が発起人になる場合の事業目的の類似性や、定款認証で求められる委任状・印鑑証明書などを説明している
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会社設立手続きの強い味方!司法書士に依頼するメリデメ|起業応援ナビ
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